生活の基盤でもあり資産でもあるマンションを「磨いて」楽しんで暮らして価値を上げよう。実践へ事例やツールを提供するお役立ちマガジンです。
マンションの寿命は所有者の寿命より圧倒的に長い。30歳で買って90歳まで使ってもその消費期間60年。まだマンション躯体寿命の半分だ。1980年代モノでも築浅なのだ。一人の人生では持て余す資産を使って「磨いて」社会資産として次世代にバトンを渡す、その工程を楽しもう。
「磨き」の対象は建物・設備ハードのみならず管理というソフトがある。ソフトが正しく稼働してハードが保全される構図だ。管理会社はこのソフト稼働のための重要なパートナーである一方、電気水道より重要なインフラ、「住」を個人が大企業に委ねるコストの経済合理性はどうチェックされるべきか。電気ガスのようには規制されていない住管理の経済合理性を自衛することも本マガジンの趣旨である。
本マガジンの狙い「磨き」の根底にある仮定、「個人が集団とはいえ組合としてゼネコンを頂点とする建設業界の構造に付き合えない」に業界関係者からお墨付きが得られた。
ゼネコン出身OBが某組合の理事長に就任した。彼の組合運営の采配は住人による自治の推進だ。物件保全に関する工事を自ら仕切れる体制構築について100戸を超える規模の組合なら人材がいるはずと、理事会と別に委員会を設置、報酬制を敷き、その額の妥当性や支払頻度について審議させるという念の入れようだ。
先日の理事会で今メディアで取り沙汰されているマンション修繕に関する談合事件にあえて触れてみた。彼の反応は意外なものだった。業界としては共存共栄で社会資本整備の資金を行き渡らせるという一応の大義がある(是非はさておき)、が、一方で、マンションの組合がその構造に付き合えるかといったら「No」だと明言した。
当方の根底にある疑問に業界OBから同意を得た格好だ。そう仮定し、経験していたことに確信が得られた。なんとも痛快である。
一般の購入者が物件選びの際に組合運営、延いては理事会の体質までチェックする難易度は高いが、それは必ず管理費や修繕積立金に表れるはずだ。それほど業界構造、つまりヒエラルキーに伴う一般管理費の乗数での積み上がりやお手盛りの施工見積は住コストを上げ生涯に渡り生活を圧迫する。そう、人生を貧しくするのだ。
某マンション理事会の話だ。大半の理事達は数十年の貢献(?)を自負し辞める気がない。
成果や生産性はだれもチェックしないし、できない。よって希望すればずっと理事に居座れる。半ボケだろうが理事会にたどり着ければ理事だし、オンラインが可能となれば足腰悪くて現場立ち合いもできない状態でも役員だ。さらには遵法や契約順守よりも義理人情の昭和叩き上げマンション投資屋が入ってくればもうそこに合理性やロジックは無い。
こういった理事会にビジネスセンスを持ち込もうが噛み合うことが無い。別の惑星なのだ。輪番制も問題だらけだが、評価制度や定年の無い立候補制は改革へ取り付く島もない。
物件保全も運営改善もその投資効率の前提は組合ソフト部分、基盤OSである理事会の性能次第だ。マンションの住システムとしての欠陥は汗をかいて繕ううことは可能でありチャレンジすべきが本稿の主張だが、そうするに妥当な時間は経験上数年だ。「磨き」つまり改革不可能となれば売却手じまい、離脱が最善手に思える。
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2023/04/01
「管理員の業務改善活動ととりとめのない話」出版
管理員さん、事件です⁉ 現役時代はITエンジニアとして活躍した著者が、定年後の第二の人生に選んだのは、「マンション管理員」の仕事だった――。多国籍の人々が暮らす都心のマンションで管理の仕事を始めて10年。その間に行った業務改善の数々と、悲喜こもごものエピソードをまとめて紹介する一冊。
2020/07/16
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