マンションは戸建てと違い小社会が形成されていることです。ライフスタイルも収入も資産への考え方もルールへの順応度も用途も様々な人たちが同じ土地同じ建物に住むわけですから、立法・行政・司法の三権がある社会と同じ構造。そこには政治臭まで漂うわけです。
取るべきスタンスは積極策です。理事になって規約と規約改定・運用に関わり、また財政状況を把握しコントロールしていきましょう。自分の資産を掌に載せることが何よりも価値向上に重要です。
管理組合を代表する理事と理事会、実質的に管理を委託する管理会社が基本構造。
普遍的課題が「情報格差」。管理会社に対して理事会はほとんど管理に関わるノウハウや管理業務の相場を知りません。よって管理会社の提案を理事会として承認し、決裁へ議案化することに追われます。つまり財政面で管理会社の手のひらに載っています。
管理会社は法人ですから、様々な規制のもとに存続しています。フロント一人雇うことにも社員としての給与だけでなく福利厚生、退職金、はたまた本社経費まで含むコストに利益を上乗せした管理委託費用となるわけです。
個人の集団が管理組合として法人のサービスを受けるのはそもそも大きな負担であることを理解しましょう。
修繕積立も住コストとしてのしかかります。積立額を決めるのが長期修繕計画です。支出の大きなものとして大規模修繕工事などがありますが、この計画もおおむね管理会社が作成します。法人ですから売り上げや利益目標達成への営業品目です。
法人とお付き合いするコスト負担を免れるには自主管理の手段があります。一方で、直接各種業者への委託するノウハウや、そもそも何をすればよいかの事業案策定のすべを心得ていなければなりません。
いずれにせよ避けずに状況を把握しましょう。そして情報を仕入れ改善策を仕込みましょう。
よくある理事任命の方法は輪番です。管理負担を公平にする一方で、持ち回り理事会では「情報格差」を埋めることが難しく管理会社の言いなりになる形態です。常任ポスト設定へ規約改定を提案しましょう。
某マンション理事会の話だ。大半の理事達は数十年の貢献(?)を自負し辞める気がない。
成果や生産性はだれもチェックしないし、できない。よって希望すればずっと理事に居座れる。半ボケだろうが理事会にたどり着ければ理事だし、オンラインが可能となれば足腰悪くて現場立ち合いもできない状態でも役員だ。さらには遵法や契約順守よりも義理人情の昭和叩き上げマンション投資屋が入ってくればもうそこに合理性やロジックは無い。
こういった理事会にビジネスセンスを持ち込もうが噛み合うことが無い。別の惑星なのだ。輪番制も問題だらけだが、評価制度や定年の無い立候補制は改革へ取り付く島もない。
物件保全も運営改善もその投資効率の前提は組合ソフト部分、基盤OSである理事会の性能次第だ。マンションの住システムとしての欠陥は汗をかいて繕ううことは可能でありチャレンジすべきが本稿の主張だが、そうするに妥当な時間は経験上数年だ。「磨き」つまり改革不可能となれば売却手じまい、離脱が最善手に思える。
・管理費会計余剰金見通しが長計にもたらすメリットとは
・「組合意思」反映可能領域を見出せは毎月の積立金額をコントロールできる
・管理委託していても自主自営は必然だ
・総会で委託契約継続議案が否決。問題管理会社の委託費値上げの顛末
・まずは問題点の深堀りから
・新たなパートナー探しへ評価の視点
・マンションという未熟で欠陥だらけの住システム