・業界の体質か
・住人を手玉に取るのは簡単
・あるべき意思決定の流れ
業界の慣習と思われても仕方ない
まずは記事の抜粋;
「マンション大規模修繕巡り談合疑い 公取委が約20社に立ち入り」毎日新聞
マンションの老朽化に伴う大規模修繕工事を巡り、談合を繰り返した独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、公正取引委員会は4日、施工会社約20社を立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。
このブログで何度も書いたが、率直に言えば「何をいまさら」だ。下請けに回りがちな施工業者に聞けぼほぼ口をそろえるようにマンション管理会社が入るなら「やりたくない」なのだ。出来レースの相見積もりと選定後に要求されるキックバック%まで教えてくれる。下請け業者はその裏を隠していない。記事では二十年以上前からとあるがこの業界の慣習だと思うのが自然だろう。
住人を手玉に取るのは簡単だ。よくある意思決定の流れ
管理会社にとって住人は羊の群れだ。情報の非対称性とか難しい事をいうまでも無く、建物設備保全、修繕委託方法、契約管理、など何も知識がなく、かつ、輪番で仕方なく一年の理事役をつつがなく過ごそうとする理事会では、管理会社の提案をそのまま議案にしてしまう。議案になれば有名無実の総会において可決されたも同然だ。
まず管理会社の第一手は、管理会社を元請にする修繕企画議案を提出する。他の選択肢ない議案だし、住人もお任せできるから、と素通りで可決。この時点でもう終わりだ。あとは、見積仕様とその目標工費、元請の設計費や管理費、会社としての一般管理費、などがしこたま盛り込まれた総費用が提示され、出来レースの相見積もりを経て、工事予算議案が出来あがる。あとは総会審議だが、相見積もりがしっかり仕込まれてるから「市場原理を働かせた結果」と突っ込みどころなく可決。
要約すると以下の4ステップだ;
1.管理会社による建物診断@理事会
2.管理会社を元請にする修繕企画議案@総会#1
3.見積仕様と目標額提示@理事会
4.見積結果と予算審議議案@総会#2
あるべき意思決定の流れ
1.管理会社による建物診断@理事会ー>理事会による修繕対象の吟味。過去の修繕履歴から各部の耐用年数を十分活かす
2.管理会社を元請にする修繕企画議案@総会ー>管理会社元請方式に対抗する組合主導方式を並行して動かす議案@総会
3.見積仕様と目標額提示@理事会ー>上記2方式での比較を検証する
4.見積結果と予算審議議案@総会#2ー>上記2方式での各最善案を比較審議@総会
組合は内外部有識者に委託し、管理会社と別に修繕委託を企画することで最後の意思決定まで組合意思を働かせる余地を残せる。この有識者とは何も設計コンサルである必要もない。経験者で十分だ。何故ならその本質は委託企画作業だからだ。工事の品質は施工会社に依存するし、金科玉条のようにうんちくを語られる設計や仕様、監理も、施工会社の請負業務範囲だ。
さてこうして出てきた比較2案の総額差に驚くはずだ。それは経験上で小中規模物件でも数千万円規模だからだ。内外有識者の委託料数十万円など誤差にもはならない負担で得られるメリットはあまりにも大きい。
#マンション #元請 #大規模修繕 #談合 #委託
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